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北京に10年駐在して気づいた日本とは違う「中国のビジネスマナー」

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中国人から見たランチタイムの重要性


中国人は食事の時間をとても大切にします。
日本では会議が長引いたり、来客があったりするとランチの時間をズラすや手短に済ませてしまうなどが多いのではないでしょうか。

しかし、日本人の習慣をそのまま中国へ持ち込むのは危険です。

ランチの時間にかかる会議を引き延ばしたりするのは、できるだけ避けましょう。
これは結果的に仕事の効率低下にもつながります。

親が子供の学力よりも先ずは健康を願うのと同じく、仕事の効率よりも中国人スタッフの食事の時間(=健康)を優先してあげて下さい。

私は中国で急な来客への対応が必要な仕事をしていました。
その際、部下には以下のような事を心がけていました。

 

ランチタイムにかかりそうな来客は、最初から私が対応する。

ランチタイムになっても来客への対応が終わらないスタッフには、途中で対応を変わろうかと提案する。

最初からランチタイムの対応が避けられないと分かっている場合は、前もってランチの時間をズラすようにお願いする。状況が可能なら、先にズラすか後にズラすかをスタッフ自身に選んでもらう。

 

日本人の感覚からすると自分の部下に対して、甘すぎると思われるかもしれませんが、これは食事の時間だけ特別です。
ポイントは「日本人上司が、自分の食事時間を尊重してくれている」という安心感を中国人スタッフに持ってもらう事です。

その気持ちさえ伝わっていれば、日によっては、どうしても決められたランチタイムの確保ができなくも大丈夫です。

状況に合わせてあなた自身のルールを作ってみて下さいね。
そしてあなたのその気持ちがきちんと中国人スタッフに通じるように、言葉にして伝えてあげましょう。

こちらの気持ちが伝わると、不思議と中国人スタッフも率先して難しい時間帯の対応に協力してくれるようになます。
その結果、お互いに気持ちよく仕事を進める事ができるようになりますよ。

 

ランチタイムの過ごし方


前章で中国人にとってランチタイムが大切な時間だと、ご理解頂けたでしょうか?

しかし中国で働く日本人を見てみると、多くがひとり、もしくは日本人同士でランチタイムを過ごしています。
中国人と食事をしている日本人をあまり見かけませんでした。

あなたはこんな心配をしていませんか?

自分の中国語力では、誘った中国人のランチタイムを台無しにしてしまうのではないか?
前任者や他の日本人同僚が中国人とは一緒にランチへ行かないので、その習慣をそのまま引き継いでいる。
いつも中国人同士でランチに行くので、声をかけるのに気が引ける。
自分の職位が上すぎる、または年齢が違いすぎるので声をかけるのに躊躇してしまう。

などなど…

心配しているその時間がもったいないですよ!
中国人スタッフもあなたとのランチを望んでいるかもしれません。
縁あって中国で働いているのですから、まずは声をかけてみるところからチャレンジしてみましょう。

 

会計時のマナー


中国では基本的に誘った方が払うという文化があります。
これはビジネスだけでなく、プライベートでも同じです。
ビジネスの場合は、例え自分が訪問側だったとしても、自ら食事に誘ったのなら、食事代は全額誘った側が負担しましょう!

逆に、相手から食事に誘って頂いた場合は、お支払いの席で財布を出したり、払うそぶりを見せるのは日本では一般的ですが、中国の場合、その態度がかえって失礼に当たります。
中国のビジネスマナー上タブーな行為です。
メンツを重んじる中国人にとって、この行為はメンツを踏みにじられたと思わせることに繋がりますのでご注意を。

このタブーを踏まえ、私が駐在していた時に気をつけていたことを紹介します。
これは中国人の同僚とランチへいくという前提です。

こちらから声をかけたら私がおごる。
相手から声をかけてきておごると言われた時の対応。
同じくらいの年齢や役職:AA制(割り勘)を提案するか、おごってもらう。
年下や役職が下:AA制(割り勘)を提案するか、安いお店ならたまにおごってもらう。
かなり年上や役職が上:おごってもらう。

 

会計時のマナーでも説明した通り、中国人はメンツをとても大切にします
ずっとおごってばかりだと気持ちの循環ができません。
負担にならない程度のお店へ行った時は、たまに気持ちよくおごられましょう。

また、中国人に対しては翌日に「昨日はごちそうさま」といった挨拶は必要ありません。
その日のお礼はその日のうちにしましょう。
ただし、中国は日本のように「いただきます」や「ごちそうさまです」といった言葉が明確にある訳ではありません。
その場合に使えるフレーズをいくつか紹介します。

 

中国語で「ごちそうさま」はなんて言う??


【相手が年上や役職が上の場合】
谢谢您的款待 xiè xie nín de kuǎn dài(ご馳走様でした)
※とても丁寧な言い方です。

 

非常好吃,谢谢您。 fēi cháng hǎo chī,xiè xie nín。
(とても美味しかったです、ありがとうございました。)

 

【年齢や役職が同じくらいまたは下の場合】
谢谢 xiè xie(ありがとう)
※シンプルですが一番無難です。

 

这家店真好吃!下次我们再来吧。我请客。
zhè jiā diàn zhēn hǎo chī!xià cì wǒ men zài lái ba。wǒ qǐng kè。
(このお店すごく美味しいね!また来よう。今度はご馳走するね。)
※少し上級者向けですが、次は私がおごるね!と言ったニュアンスで使えますよ。

 

食事中の話題と注意点


①聞き役に重点を置く

最初の数回はあなたに対して色んな質問が出ると思いますが、それもひと段落したら、ぜひ聞き役に回って下さい。
オフィス内とは異なる環境の場で、リラックスして家族の事や職場での出来事などを教えてくれるでしょう。

②相手が話してこない限り、仕事の話はこちらからしない。

仕事の話をしてしまうと、あなたにランチに誘われる=「仕事の延長」と思われてしまいます。
ここは日本と大きく違う点かもしれません。
ぜひ注意したい点ですね。

③一人でゆっくりと息抜きしたい時は、無理をしない。

中国人同僚にとって私は「時々一緒にランチに行く」日本人という存在でした。
たまに断っても気まずくならないような、ベストの頻度を見つけましょう。
食事の時間はリラックスできるし、本音が出る場面でもあります。
潤滑な人間関係が構築できれば、職場での仕事もスムーズに進みますよ!

 

あいさつ・握手のマナー


日本では「お辞儀」をするのが一般的ですが、ビジネスにおいて中国の場合は「握手」を交わすのが一般的です。
また、握手する時は「相手の握る強さに合わせる」ということを心掛けましょう。
強すぎるのはもちろんですが、弱すぎても相手に好印象は与えらえれません。

名刺交換は基本的に日本と同じ作法ですので、同じように対応すれば問題ないでしょう。

そして、今回の記事で何度も出てきた「メンツ」というワードですが、これは中国人相手のビジネスにおいてすごく重要なキーワードになります。
相手に恥をかかせたり、誇りや人格を傷つける言動は絶対にやめておいた方が良いでしょう。
商談や交渉の場で、相手を追い詰めてしまうような言動も控えておきましょう。
逃げ道を残してあげる配慮が必要ですよ。

 

商談・呼び方のマナー


まずはアポイントを取る時間に注意しましょう。
先ほども言ったように、中国人はランチの時間をとても重要視しています。
食事中に仕事の話はしません。
お昼休みの時間もたっぷり取りますので、11:30〜13:30は避けた方が良いでしょう。
もちろん、相手から時間を指定された場合は別です。

呼び方について
必ず苗字+役職名の順で呼ぶようにしましょう。
また、役職が副社長のように「副」が付く場合は、「副」を省略して呼びましょう。

例:苗字が「王」で役職が「副室長」の場合。
王+室長:王室长 wáng shì zhǎng

 

【肩書き一覧を中国語で】

 

時間に関するマナー


中国人は日本人以上に時間に厳しいです。
商談・接待・会食・宴会など、全てにおいて遅刻するのは失礼に当たります

ただし、招待側(ホスト)より先に到着してしまうのは、ホストに恥をかかせることになりますのでご注意ください。
招待「する側」か「される側」によって異なります。

招待側(ホスト)はだいたい20〜30分前に到着するようにしましょう。
招待される側であれば、10分前くらいに到着するのがベストでしょう。

 

喫煙のマナー


中国で日本と大きく違うのが「喫煙マナー」です。

お互いが喫煙者で、一緒にタバコを吸いに行く際は気を付けたい点ですが、中国では、自分のタバコに火をつける前に、相手に自分のタバコを差し出すのがマナーです。

ですので、先にタバコを取り出した方が、まず相手に差し出して火をつけてから、自分も吸います。

反対に、相手から差し出されることもありますので、必ず受け取るようにしましょう。
そこで断るのは中国ビジネスマナー上タブーです。
もちろん、タバコを吸わないのであれば断っても大丈夫ですよ。
無理にタバコを吸う必要はありませんのでご安心を。

 

宴会や会食で好印象を与える方法


駐在員の大きな仕事の一つに、中国側の合弁相手や取引企業との宴会や社内での会食がありますね。
あなたも基本的な宴会マナーは心得ていることでしょう。

今回はそんな基本的なマナーよりも優先順位は低いけど、
知っておくと印象がアップするちょっとした心遣いのヒントを紹介します。

アルコールを飲むとき、乾杯については多くの情報があるので、ここでは省略させて頂きます。
ここでご紹介したいのは、最初の乾杯が終わり、あちらこちらでの小規模な乾杯も一段落したと仮定しましょう。

Q:その後、乾杯ではない時に飲むアルコールは、日本と同じく適宜飲んでもいいのか?

A:中国では必ず誰か一緒に飲んでくれる人を探し、目を合わせて杯をお互いに上に掲げてから飲むようにして下さい。
つい日本の習慣で、料理を食べながら勝手にアルコールを飲む事がないように注意しましょう。
喉が渇いた時は、自由に飲めるお茶が便利です。

もう一つ大切なのは、テーブル内で杯を持って誰か一緒に飲む相手を探している人がいないか気を配りましょう。
話に花が咲いていたりすると、気づきにくいものです。
円卓の一番遠くにいる相手でも、杯を持った人と目が合ったらにっこりと笑って杯を掲げてあげましょう。

Q:みんな当たり前に料理を残すのだが、どうして?

A:中国流の「おもてなし」は食べきれないくらいの料理が出てきます。
逆に無理して全部食べきってしまうと、「料理が足りなかった」ともてなす側に思わせてしまうので、あえて少し残すようにしましょう。

Q:肉や魚の骨、貝殻は何処に?

A:テーブルの上に直接おきます。
中国の宴会に慣れてきたあなたなら、中国人が食べた肉や魚の骨をテーブルの上に直接置いたりするのに慣れてきていると思います。
これは、一度口につけたものをこれから食べるものが入ったお皿と一緒にする事に、中国人は抵抗を感じるからです。

でも肉や魚の骨を直接テーブルに置くのはちょっと…と最初は戸惑いますよね?
こればかりは感覚の違いですので、郷にいれば郷に従うしかないです。
同席している中国人は、これから食べるものと一度口をつけたものが、一緒のお皿にあるのが衛生的ではない、気持ち悪いという印象を持ってしまいます。

もし、どうしてもテーブルの上に置くことに抵抗があるようなら、骨や貝殻を入れるためだけのお皿を準備しましょう。
宴会が始まってしまうと注意をしにくいので、日本からの出張者には宴会前に教えてあげると親切ですね。

 

まとめ


いかがでしたか?
中国人がとても大切にしている「食」の時間や、日本との感覚の違い、習慣・文化の違いを少しで理解してもらえたでしょうか?

ビジネスマナーは一般的なマナーとも少し違ってくるので、充分に気をつけないと商談や今後のビジネス関係にも影響を与えかねません。
ぜひタブーなどはあらかじめ理解と知識を持っておきましょう。

今回の記事を通して、あなたの中国ライフが少しでも豊かなものになりますように。

今後とも知りチャイナでは、中国語学習に役立つ情報を配信して参ります。
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ライター紹介 ライター一覧

yuka

yuka

出身:中国上海市
言語:中国語、日本語、上海語




経歴:日本人の父と中国人の母を持つハーフです。中国上海に12年間在住し来日。

文京大学英文学科を卒業し、ヤマト運輸グループのヤマトシステム開発で営業職を担当。

数々のプロジェクトや新規事業開拓に参加。

その後大手語学スクールに入社し、現在までに培った語学力とコミュニケーション能力を活かしジャスミン中国語スクールを設立。

ご挨拶:庄子有加です。1987年上海生まれ。小学校を卒業し、12歳で来日しました。その時日本語は一言も話せませんでした。

中学生という多感な時期に、言葉がわからない国へ移住する事は想像しがたい事だと思います。

しかし、この経験が私に言葉の大切さ、素晴らしさを教えてくれました。

言葉の壁に苦しんだ事があるからこそ、同じ様に言葉を学習したい方の力になりたいと思いました。

中国語は皆さんが思うほど難しい言語ではありません。

同じ漢字を使う日本人にはすごく勉強しやすい言語の一つです。

本サイト「知りチャイナ」では中国語学習に関するさまざまな情報を配信していきます。

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