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「中国昔ばなし」語源を知るともっと面白い故事成語一覧

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それでいいのか?おサルさん…「朝三暮四(ちょうさん-ぼし)」


中国語では:朝三暮四 zhāo sān mù sì と読みます。

【物語り】
今から2千年ほど前、春秋・戦国時代の宋という国にサルが大好きな人がいました。
その人はたくさんのサルを飼い、サルが言いたいこともよく理解していました。
その猿への愛は常軌を逸していて、
サルのために自分の家族の食料を減らしてしまうほど。

しかし、そんなサル好きの彼でしたが、
急に貧しくなってサルの餌を減らさなければならなくなってしまいます。
サルに与える餌を急に減らしてしまうと、
サルから嫌われてしまう…と考えた彼。
一つ、芝居を打ってみることにします。

サルたちを呼び集め、彼はまずサルたちに次のように告げました。
「おまえたちに与えるトチの実だが、今日の朝は3つに減らして、暮れには4つにしようと思う。これで足りるか?」
これを聞いたサルたちは、「いきなり餌を減らすなんて!」と怒る。

サルたちの予想通りの反応を見た彼。
今度はサルたちにこう言いました。
「では、ひとまず今日の朝は4つにして、暮れは3つに減らそうと思うが、どうだ?」
これを聞いたサルたちは大喜びしたと言います。

いずれにせよ、1日にもらえるトチの実は7つなのに…。
それでいいのかい?おサルさん…と思わずにはいられませんよね。

『列子(れっし)』や『荘子(そうし)』といった思想書に見られるこの故事から、
「目先の利益に目がくらんで本質が理解できずにうまいこと騙されてしまうこと」
「もしくは相手を言葉巧みにあやつって騙すこと」という意味を持つ「朝三暮四」という言葉が生まれたのでした。

ちなみに中国では朝と暮れとで、
もらえるトチの実の数がコロコロ変わるということから、
「あてにならないこと」「いい加減なこと」という意味でこの言葉が使われているのだそうです。

 

ちょっと意地悪すぎやしませんか?…「食指(しょくし)が動く」


中国語では「人差し指」のことを「食指 shí zhǐ」と呼びます。

この成語、中国語では:食指大动 shí zhǐ dà dòng と読みます。

【物語り】
これまた春秋時代のお話です。
鄭(てい)という国に霊公(れいこう)という人がいました。
霊公(れいこう)は諸侯(しょこう)という高い地位の人物。
ある日、楚(そ)の人が霊公にスッポンを献上し、
霊公の屋敷ではさっそくスッポン料理が作られます。

そんな時、霊公の屋敷に2人の臣下(しんか)が訪れます。
すると、そのうちの1人の人差し指がピクッと動きました。
「私の人差し指がこんなふうにピクピク動くときは、いつも珍味にありつけるのだよ」
と得意げにもう一人の臣下に話す彼。

屋敷に入った2人は料理人がスッポンをさばいているのを見て顔を見合わせてニヤリ。
霊公が2人の嬉しそう顔を見て、その訳を尋ねると、
やはり彼は得意げに「人差し指」の話をしたのでした。
霊公は「その人差し指の勘が当たるかどうかは、まだ分からんぞ」と言った。

いよいよ料理が振る舞われるというとき、
なぜか「人差し指」の話をした臣下の前にスッポン料理が配膳されません。
それをニヤニヤしながら見ていた霊公が更に一言、
「その人差し指の勘、今日はハズレたようだな!はっはっはっ」とバカにした。

これに腹を立てた臣下は、スッポン料理が入っている三つ脚の大鍋に指を突っ込み、
ペロッと舐めて退出したのでした。
しかし、その行為は大変無礼なことで、
霊公はこの臣下を殺すため色々な理由を探した。
ところが、相手に先手を打たれ、逆にその臣下に殺されてしまいます。
その臣下も霊公を殺したことによって、悪名が後世に残ることとなり、
最後は結局別の臣下に殺されたのでした。

そんな意地悪しなければ、霊公も臣下に殺されることもなかったのに…。

『春秋左氏伝(しゅんじゅう-さしでん)』に描かれたこのエピソードから生まれた「食指大动」という故事成語は、
「食欲が起こる」「興味を持つ」という意味で使われています。

 

今ヤバいって言ってるでしょうが!!…「轍鮒之急(てっぷの-きゅう)」


中国語では:辙鲋之急 zhé fù zhī jí と読みます。

【物語り】
荘周(そうしゅう)の思想が集められた『荘子(そうし)』には、
こんなエピソードがあります。

貧乏だった荘周は、ある土地の偉い人に食料を分けてもらいに行きます。
「わかったよ。もうすぐ税収が入るから、そのときにお金を貸すよ。」と答える偉い人。

しかし、途端に荘周の怒りが爆発して、
次のようなエピソードを語りだします。

『私は昨晩、道中で私を呼ぶ声を聞きました。
その声の主を探してみると、車の轍(てつ)の中にフナがいたのです。
私はこのフナに「お前は何をしているのだ?」と聞きました。
フナは「水を…水を下さい…!」と答えました。
そこで私は「わかったよ。これから南の水の豊かなところに行くから、そこの水をたくさん持ってこよう。」と答えました。
しかし、フナは途端に激しく怒り出し、
「私は今、より所である水を失っているのです!少しの水で良いと言っているのに!そんなことをしていたら、あなたが次に私と会うのは干物屋の店先でしょうね!」
と言いました。』

フナの必死さがヒシヒシと伝わってくるこのエピソードから生まれたのが、
「辙鲋之急」という故事成語。
「危急が差し迫っている」ことを表す言葉として使われています。
つまり、「今すぐに!」必要なのに…ということですね。

 

なんで納得しちゃったの!?…「水魚(すいぎょ)の交わり」


中国語では:水鱼之交 shuǐ yú zhī jiāo と表現されます。

中国といえば『三国志』の名がパッと浮かんできますよね。
そんな『三国志』から生まれた故事成語があるのです。

【物語り】
桃園で義兄弟の契りを交わし、
数々の死線(しせん)を共に潜り抜けてきた、
劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)の3兄弟。
しかし、その3人の仲に亀裂が入ってしまう出来事が起こります。

劉備が自分たちを差し置いて、
諸葛亮孔明(しょかつりょう-こうめい)を猫かわいがりしている…!

劉備よりも二回り年下でありながら、
三顧の礼(さんこの-れい)をもって迎えられたあげくに、
いつも2人で楽しくおしゃべりする諸葛亮…。

ポッと出の若者の分際で自分たちよりも大切にされている諸葛亮に対し、
関羽も張飛も嫉妬の炎を燃え上がらせてしまうのです。

そんな二人は納得がいかず、劉備を問い詰めます。
「俺たちと諸葛亮と、どっちが大切なんだ!」と。

これに対し、劉備は次のように答えます。
「私に孔明が必要なのは、魚が水を必要とするようなものなのだ。」
この言葉に納得した関羽と張飛なのでした。

…え!?納得しちゃうの!?
とお思いかもしれませんが、
どうやら劉備は、関羽と張飛とは義兄弟だけれど、
諸葛亮とは夫婦のようなものだと言いたかった模様。

この故事から、「非常に親密な交際」を指す「水鱼之交」という言葉が生まれました。

 

待ちぼうけ~♪…「株を守る」


中国語では:守株待兔 shǒu zhū dài tù と表現されます。

あなたは北原白秋が作詞した「待ちぼうけ」を聞いたことがあるでしょうか?

待ちぼうけ~
待ちぼうけ~
ある日せっせと野良稼ぎ♪

という歌。実はこの歌、
中国のとある故事に基づいて作られているのです。

【物語り】
春秋・戦国時代、宋(そう)という国でのお話。
とある農夫が、自分の畑の隅にある切り株に、
ウサギがぶつかって首の骨を折って死んでしまったのに出くわします。

なんの苦労もせずしてウサギを手に入れたことに味をしめた農夫は、
自分の畑を耕すことをやめ、再び切り株にウサギがぶつかるのを待ち続けました。

しかし、当然そんなことはそうそう起こるはずもなく…。

畑を耕すこともやめていた彼は、
実りの秋に作物を収穫することもできず、
ひもじい冬を迎えることになり、人々の笑いものになってしまったのでした。

『韓非子(かんびし)』という思想書に描かれたこのエピソードから、
この「守株待兔」という言葉が生まれました。
「いつまでも古い習慣にこだわり進歩がないこと」という意味で使われています。

 

まとめ


いかがでしたか?
その成り立ちが面白い故事成語は、
まだまだたくさんあります。

耳慣れない故事成語に出会った際には、
ぜひその言葉のエピソードも調べてみてはいかがでしょうか?
きっとクスッと思わず笑ってしまうような、
面白いお話にも出会えるはずですよ!

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chopsticks

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元私立高校教員(国語)
大学時代に中国語を学び、中国語検定3級を取得。
経学から史学、文学まで幅広く学び、現在は清代考証学を研究中。

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