中国の七夕伝説と現代の習慣・風習
織姫と彦星の伝説
中国では、織姫を「织女(織女)」と呼び、彦星を「牛郎」と呼んでいます。
二人にまつわる伝説はいくつもありますが、その中で一番有名な物語りを紹介します。
【牛郎と織女の物語】
昔むかし、牛家庄という村に一人の青年がいた。
毎日牛の世話や番をしていたので、人々は彼を牛郎と呼ぶようになった。
ある日、牛郎は牛を連れて草原に餌を食べさせに行き、木陰でうつらうつら眠りこけていると、夢の中で牛が話し掛けてきた。
牛は「牛郎、明日七人の天女が森の奥の池で水浴びをする。天女の一人は天帝の許しを得て人間になる予定なので、木の枝にかかっている天衣を奪ってしまえばもうその天女は天界に戻れない、おまえはその天女と結婚しなさい。」と彼に言った。
翌日、牛郎は牛に言われた通り、七人の天女の中の織女の天衣を隠して、予言通り夫婦となった。
牛郎は牛を連れて畑仕事をし、織女は機を織る。
二人は普通に幸せな生活を送り、二人の子供にも恵まれた。
実はこの牛は金牛星が生まれ変わって人間界に出現した牛なのだった。
月日は経ち、牛がまた牛郎に「織女が人間になってから明日でちょうど7年目の満期になるので、天帝の命令によって天界に帰らなければならない。だが、一つだけ連れ戻す方法がある。私(牛)を殺して皮をはぎ、明日、織女が天に昇るとき、その皮をかぶって子供達と共に追いかけるのだ。うまく捕まえられれば連れ戻すことができる。」
そう教えると牛は自ら岩に頭をぶつけて死んでしまった。
牛郎は泣く泣く牛の皮をはぎ、子供達を乗せるための二つの籠と天秤棒を用意した。
翌朝、織女は今まで織った機を牛郎に手渡し、涙ながら二人の子供に別れを告げた。
織女も天帝の命令には逆らうことができないので、子供の手を振り解き天に昇って行こうとする。
すると、牛郎は用意した籠に子供を入れ天秤棒で担ぐと、牛の皮を着て追いかけた。
もう一息で手が届くその瞬間、王母娘(天帝の妻で織女の母親)がかんざしで二人の間に線を一本引いた。
それが「天の川」となり、二人を東西に引き離してしまったのだ。
二人の悲しむ姿を見かねた「喜鵲」は毎年七夕の日には群れとなって自らの体で「喜鵲橋」を作り、牛郎と織女をこの橋の上で再会させることになった。
西暦の7月7日は梅雨時でなかなか綺麗な空が見えませんが、旧暦の7月7日(8月初旬頃)に、ぜひ夜空を見上げてみてください。
天の川の東に3つ並んだ星が見えます。
真ん中の一番明るい星が牛郎星で、両脇の小さな星が2人の子供だといわれています。
そして、天の川を挟んだ西側には織女星が輝いています。
古来の七夕の習慣・風習
日本の七夕は7月7日です。
しかし、中国の七夕節は旧暦7月7日になり、西暦だと毎年8月初旬ごろになります。
以前は中国各地で織姫彦星伝説にちなんで、「乞巧奠」とよばれる行事がありました。
織姫が裁縫の神様であることから、女性たちは織姫に知恵と裁縫技術の上達を求め、また円満な結婚を祈る行事です。
女性たちは、夜になると7本の針に5色の糸を通し、針仕事や織物の上達を祈ります。
また、瓜などのお供え物を庭に並べて良縁や子宝などを願ったりしていました。
現在の七夕の習慣・風習、中国ではバレンタイン?!
七夕の日、以前は織姫星に願い事をしていた女性たちですが、その風習も次第に廃れていきました。
しかし、年に一度織姫と彦星が出会うというロマンチックなお話はそのまま引き継がれ、「恋人の日」として認識されるようになったようです。
そこに、西洋から入ってきた文化が影響して、現在ではバレンタインのような習慣になりました。
七夕節には恋人の日として「七夕情人节(チーシーチンレンジェ)」とメッセージを送るようです。
従来の2月14日のバレンタインも恋人や夫婦で祝うので、中国では恋人の日が1年に2度あるという事ですね!
また、日本のバレンタインと違うのは、女性が男性に贈り物をするのではなく、中国では男性が女性に贈り物をするのが一般的です。
チョコレートや、花束、洋服、アクセサリー、さらにはお金まで贈ることもあるそうです。
この日は、あちこちでバラの花が売られており、レストランはどこも予約でいっぱいだそうですよ!
中国人は、想像していたよりもロマンチックのようですね。
年に2回もバレンタインがあるなんで、中国の女性たちは本当に幸せですね。
まとめ
いかがでしたか?
伝説と同じように、風習や習慣は時間と共に変化していく物です。
本来の七夕の風習は廃れてしまいましたが、時代に合わせて生まれ変わった、中国ならではの七夕の祝い方は女性なら羨ましいと思うものではないでしょうか?
織姫と彦星が1年に一度出会うことから「恋人の日」として復活したことは面白いですね。
古来からある風習に現代の文化が絶妙に融合したと言えるでしょう。
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