中国人の間で浸透する「信用スコア」とは?日本人との考え方の違いを解説
芝麻(ゴマ)信用とは?
今、中国では「芝麻信用」と言われる、信用スコアが広まりつつあります。
芝麻信用の「芝麻」というのはゴマの事です。
ゴマみたいな小さな評価が集まって「信用」になっていくという意味。
アラビアンナイトに登場する『アリババと40人の盗賊』というおとぎ話で使われる「ひらけゴマ」が由来となっているようです。
実際、芝麻信用は中国の有名大企業「アリババグループ」によって運営されているものです。
この信用スコアに影響するとされるもの:
・学歴
・職業
・何を買い物したか
・SNSでの交友関係
・趣味嗜好
・資産
・金融サービスの利用状況
一つ一つのデータは小さなものですが、何年もデータを集計すると「この人は多分こういう人だ」、「この人はどのくらい信用があるのか」というものが分かってきますよね。
芝麻信用は、そういうデータを格付けし、ある人物の信用度を数値化した「個人信用評価システム」なのです。
具体的には、運営会社のアリババできちんと支払いをすると、この信用スコアが上がります。
信用スコアの範囲は350~950点で、5つのランクに分けられます。
買い物の他に、中国版ツイッターで「今日は〇〇をして人に良いことをした」とつぶやくと、ほんの少し信用スコアが上がるのです。
スコアが高いと、ローンの金利が優遇されたり、ビザが取りやすくなったり、病院やお店で後払いが可能になるといった様々なメリットがあるようですよ!
どんな人が中国で評価される?
日本では、一般的にスーパーボランティアのような人徳者や社会的評価を気にせず自己アピールの少ない人の方が評価されやすいですよね?
いわゆる「さりげない良い人」の評価が高くなる傾向があります。
また、日本社会では、評価を得るためにガツガツしなくても、少し頑張ればそれなりの社会的評価を得られるという考え方の人が多いと思います。
逆にガツガツアピールをする人は反感を買う事すらありますよね?
しかし、芝麻信用が発達しつつある最近の中国では、「社会的評価を気にしない人は負け犬である」という考えが広がってきました。
中国では「人徳者であるならば、人として高く評価される行動をとれ」と言われてしまうのです。
アリババの創始者であるジャック・マーは、2017年の経済フォーラムで「芝麻信用は、恋愛の必要条件になるであろう」と発言しました。
それでは、中国で評価される人はどんな人なのでしょうか?
中国で最も評価されるのは「自己アピールの強い善人」だと言えます。
「アピールする」というところが重要になってきます。
日本人は自分の努力を隠したり、こっそりいい事をするのが美徳とされていますが、中国ではいい事をしたとアピールした者が評価されやすいという事ですね。
確かに、いい事をしても誰にも知られなければ評価に繋がる事はありませんね?
こればかりは考え方が人それぞれな気もしますが、少なくとも中国社会で評価を得たいと思っているなら、「アピール力」も欠かせないという事でしょう。
中国社会が少しずつ良い方向に向かっている?
もともと中国は、政府が個人情報をすべて握っています。
それは中国では当たり前で、プライバシーの侵害や個人情報保護について、中国国民は大きな疑問を持たずにきました。
個人のプライバシーより治安の維持や良い社会の実現を大事にするのが中国での一般的な考え方です。
先ほど紹介した芝麻信用も、基本的に本名や居住地などの個人情報を公開すればするほど、スコアが上がりやすく出来ています。
まずこの点が日本とは根本的に考え方が違いますよね。
では、なぜこの芝麻信用によって、中国社会が良い方向に向かうのか?
それは、信用スコアには減点もあるからです。
減点対象の詳細は明らかにされていないのですが、支払いの遅れや交通違反などだといわれています。
それまで他人からの評価を気にしなかったり、自己アピールの少ない人たちが、この信用スコアを減点されないように、ランクが下がらないようにと、マナーを守るようになります。
この心理によって、中国全体のマナーが良くなってくるのではないでしょうか。
芝麻信用は、個人が品行方正であるかを確認する目安にもなるのです。
日本人からすると、何でこういうシステムが出来たのか?と不思議に思うかもしれません。
それは、これまで中国社会で最も欠けていたものが「信用」だったからではないでしょうか。
ネット社会の今、SNSなどのツールに多少なりとも人が左右されているのは事実です。
自分の情報が晒されたりと、嫌な思いをする人がいる一方で、この芝麻信用はネット社会の特性を生かした中国ならではの画期的なシステムなのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
今回紹介した「信用スコア」のシステムは、人の信用度を測る中国ならではの仕組みだと思います。
これにより、中国社会が変わりつつあるのも事実です。
今後も、中国では品行方正な人が増えて行くことでしょう。
もし日本で同様なシステムが導入されたら、どうなるのでしょうか。
考え方が全く違う日本人には受け入れられないシステムかもしれないですが、自分事として考えてみると面白いかもしれませんね。
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