中国で「縁起の良い」春節(旧正月)の食べ物
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中国の地域によって異なる春節の食べ物
広大な中国の中では、地方により春節に食べる料理も大きく異なります。
それぞれの地域で採れる作物が異なっており、メイン料理もそれに伴って変わってきます。
北方では餃子をメインに食べるのですが、南方では餃子のほかに「汤圆」や「年糕」など、甘い物を食べる習慣があります。
また、北方では種類豊富な麺料理が多く、小麦粉を使った料理が主食です。
それに対し南方の主食はお米です。
上海では春節の時に、甘いもち米にナッツや餡を入れて蒸した「八宝飯」を食べますよ。
広東省では「髪菜蠔豉」という、念珠藻と干し牡蠣の煮物が食べられています。
これは「髪菜」の発音が「发财」と似ていることから、「財を成す」という縁起の良い食べ物とされています。
春節の魚料理
中国のどの地域でも、大晦日の夕食で魚を食べる風習があります。
中国語で「鱼(ユー)」は「余(ユー)」と発音が同じ。
「有鱼(魚がある)」は「有余(ゆとりがある)」という意味で、「毎年ゆとりがあるように」という願いが込められています。
四川では、魚をまるごと油に浸し、唐辛子や薬味を入れて煮込んだ辛い魚料理がありますが、全般的に好きな魚をスープに入れるか、煮魚や蒸して食べることが多いようです。
好きな魚として挙げられるのは、鯉が多いのですが、それも験担ぎの一つ。
「鯉(リ)」と贈り物という意味の「礼(リ)」が同じ発音だからです。
「毎年ゆとりがありますように」と願うわけですから、魚も全部は食べずにちょっと残す風習もあるようです。
中国で春節に必ず食べる物と言えば、やっぱり餃子!
北京や東北地方などの北方では、旧正月の前日の大晦日に、家族が集まって餃子を作ります。
餃子の形が昔の貨幣に似ていて新年に餃子を食べると、金運が良くなるからと言われています。
また、「餃子」は「交子」と発音が似ており、子孫繁栄の縁起をかついだ料理とされているのですよ。
おせち料理でいうところの数の子の役割でしょうか。
大晦日の夜、子の刻(24時)に、親戚一同(20人くらい)が揃ってみんなで食べるのが伝統。
春節から5日間食べる風習がありますが、現在では好きな時に食べるようになっています。
年齢が高い年代の人たちは、家族で作るのを楽しみにしており、春節の料理は全部手作りだとか。
一方20・30代の人たちは、市販品をネット購入することが多いようです。
春節に食べる手作り餃子の具は普段よりも豊富で、みんなが好きな食材を入れます。
例えば、牛肉とセロリ・卵とニラ・豚肉と椎茸など肉と野菜がバランスよく混ざった具。
他にも、じゃこや海老などを入れた海鮮餃子から、とうもろこしやカボチャ、チーズの入ったものや、野菜だけの餃子までバリエーションがとても豊富なんです!
それぞれ好きな具を入れたり、中には変わった形の餃子を作ったりと、大晦日は家族でワイワイ餃子を作るのも伝統の一つと言えますね。
また、中国で「餃子」と言えば、焼き餃子ではなく「水餃子」のことを指します。
日本でいう「焼き餃子」は「鍋貼」と言います。
「水餃子」というと、スープに入ってる餃子を食べるイメージがあるかもしれませんが、実は蒸し餃子だったり、茹でたあとお湯からあげてタレを付けて食べるのが一般的。
水餃子は皮に水が浸透して、表面がつるつるしているのに対し、蒸し餃子は少し皮が硬く歯ごたえがあるのが特徴です。
なんと言っても餃子の皮がもちもちしていて、日本で売っている物よりも厚みがあるのが特徴。
チャンスがあれば、ぜひ一度本格的な水餃子を食べてみてください!
日本の餃子も美味しくて大好きですが、中国の水餃子は全く別物で餃子へのイメージが変わりますよ!
そして、残った餃子は焼いたり、揚げたりして次の日に食べるのがまた楽しみの一つなのです。
調理法によって餃子の食感や風味も異なるので、餃子だけを食べても飽きないですよね。
中国南方ならでの食べ物、年糕とは?
中国の南方は米を主食としていますが、年糕はもち米の粉と砂糖を捏ねたものを蒸して作ります。
日本で言えばお餅です。
ただ、形も食べ方も日本でも想像もつかない程のバリエーションがあります。
日本のお餅は一般的には四角い切り餅か丸い鏡餅が多いですよね?
中国のお餅は長い棒状になっていて、食べる時は水に浸し柔らかくしてからスライスして調理するのが一般的。
炒年糕や汤年糕など色々な食べ方があってとても美味しいんですよ!
他にも大根餅や香港では甘くして食べる調理法がポピュラーのようです。
ココナッツミルクを使った「椰汁年糕」、タロ芋を使った「芋頭年糕」、くわいを使った「馬蹄年糕」など。
台湾では、小豆を使った「紅豆年糕」もあり、さまざまな材料を使ったものがありますね!
「年糕」の「糕」と「高」の発音が同じ音であるのにかけ、一年中の好運を呼び込もうと願い年糕を食べるのですね。
「年年高」には、毎年、家族収入額が高く、会社での昇進や学業成績の向上、子供の背が高くなるなど様々な良い意味が込められています。
最近では、縁起の良い鯉と年糕を掛け合わせて、鯉の形をした年糕も販売されているほど。
市販品の年糕は、真空パックで密封されているので、食べるときは、包丁で切り出して、食べやすいサイズに切っていきます。
それから様々な方法で調理されて、食べられているわけですね。
中国で春節に食べる、「元宵」と「汤圆」とは?
春節の最終日に元宵節という祭日があります。
中国では、この日に家族揃って具の入った白玉団子を食べる習慣があります。
元宵節とは、その年の最初の満月を祝う漢の時代から伝わる歴史あるお祭りだそうです。
丸い団子は、円満の象徴で縁起がいい、家族の再会や連帯を表すと考えられており、一年の家族の幸せや円満を願って食べられます。
この春節に食べる白玉団子のことを、北方の人は「元宵」、南方の人は「汤圆」と呼んでいます。
「汤圆(タンユェン)」は、家族団欒を意味する「团圆(トゥアンユェン)」の発音が類似していることもあり、元宵節に欠かせない料理として定着していきました。
「汤圆」の「汤」は中国語でスープのことで、スープに白玉団子が入っているものが「汤圆」です。
汤圆の団子は日本の白玉団子より大きくて食べごたえがあります!
団子を手作りする家庭もあれば、お店で買う人も多いようです。
この時期、冷凍食品コーナーには、さまざまなメーカーのものがそろっています。
団子の中の具には、多種多様なものが入っており、人気があるのは香ばしい黒ゴマ餡と、ピーナツのやさしい甘みが特徴の「ピーナッツ汤圆」。
また、小豆などの豆類やさつまいもを煮て砂糖を加えて練った「餡」などが入ったものも多く、とろりとした餡ともちもちの白玉は、日本人の口にも合う味ですよ。
甘い物のほかに、肉などが入った塩味のものもあり、つるりとした柔らかい食感の白玉と塩味の組み合わせは、絶妙なバランスが特徴。
専門店で味の違いを楽しんでみるのもおすすめです!
中国の春節に欠かせない意外なフルーツ
最後に、魚料理や餃子、汤圆以外にも、中国の春節で欠かせない縁起物を紹介します。
風水では黄色や金色やオレンジなどの明るい色、味では甘い物、丸い形の食材が金運アップのために効果があるといわれています。
それらを組み合わせると、どういう食べ物が浮かび上がりますか?
春節の開運フードというと、中国ではみかんや金柑などの柑橘類が挙げられることが多いです。
中国で日本の門松に当たるのが金柑の木。
緑の葉と小さな黄色い実をたくさんつける金柑を、玄関や店頭に飾ります。
中国語で「金柑」は「金桔」と書きますが、金は「財」、桔は「吉」を意味することから、金柑は「吉祥と富をもたらす縁起のいい木」とされています。
金柑は、春節の時期が一番おいしい時期で、古くは咳止めの薬用としても用いられています。
はちみつ漬けやお酒に漬け込んで食べると甘くてとてもおいしいですよ!
味良し、縁起良し、体にも良いと中国人にとっては春節に欠かせないフルーツだと言えます。
まとめ
いかがでしたか?
中国にはその土地ならではの、春節の食べ物があるのは興味深いですね。
食べ物は違っても、春節をお祝いする気持ちは、いつの時代も変わらないものだと思います。
日本には中華街もありますし、今はネットでなんだって買える時代になってきました。
ぜひ気になるものを、取り寄せたり、食べに行ったりしてみて下さいね!
まったく違う雰囲気のお正月を過ごせること間違いなしです。
食べ比べをしてみるのも楽しいですよ。
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